バッテリーフォークリフトのバッテリーは、鉛電池が使用されています。
電気エネルギーを化学エネルギーとして蓄え(=充電)、必要に応じていつでも電気エネルギーとして取り出すことができ(=放電)、しかも繰り返すことができます。
一般的に、2Vのバッテリーセルが12個或いは24個連結された、24V、48Vの2種類のバッテリーが主流となってます。
バッテリーフォークリフトのバッテリーは高額ですが、日ごろのメンテナンスをしっかり行うことによって寿命も違ってきます。
■一般的な特徴
蓄電池の寿命 : 20℃で75%使用時、1,200~1,500サイクル
電解液 : 温帯気候(周辺温度:20℃)で、1.280±0.005
放電終止電圧 : 1.70V
使用環境により前後しますが、メーカーがJIS規格により公表しているデータによりますと 充電・放電を1サイクルとして、1,200~1,500サイクルで寿命だと言われています。
例えば、毎日1回充電するところであれば、年240サイクルとして5~6年程度で電極にサルフェーション(注※)が発生し、使用ができなくなります。
しかし、物理耐久は、2,000サイクルと言われており、最近市場でよく聞かれる再生バッテリーとはそこまでの延命処理をしたバッテリーとなります。
例えば、1,200サイクル充放電をしたバッテリーを再生した場合、残り800サイクル充放電を行うことが可能になります。
(注※)電解液中に溶解している硫酸鉛の微粒子が飽和状態となり、電解液の温度が下がった時に結晶化し、硫酸鉛となって電極板に付着・増殖する現象です。
バッテリーを長期間使用するうちに起こる劣化現象で、物理的な損傷で故障になった場合を除けば、ほとんどの原因はこれによるものです。
バッテリーは充電と放電を繰り返す回数と、放電時間によって寿命が決まるといわれております。
しかし、日ごろのメンテナンスを疎かにしますと、バッテリーの寿命は当然短くなります。
最も基本的なメンテナンスは、バッテリー補充水の定期的な補充です。
特に夏場や、作業環境によって高温な場所では、頻繁な補給水チェックによる注意が必要です。
年々高騰するガソリンやディーゼルなどの燃料に代わり、環境面だけでなく、コストメリットからも注目されている
バッテリーフォークリフトですが、いったいどのくらい違いがあるのでしょうか?
種別 | 月間経費 | CO2排出量 |
---|---|---|
バッテリー |
バッテリー代(6年目以降)
(5年目まではフォークリフトに標準搭載のため)
|
約147kg |
ガソリン |
ガソリン代 約34,290円 |
約586kg |
軽油 |
軽油代 約28,450円 |
約670kg |
しかし、バッテリー式フォークリフトは、連続稼働時間がエンジン式に比べて短いなどにより、
作業稼働時間が長い現場では敬遠されているのが実情です。
バッテリーの最終的な寿命は、電極の物理的な耐久性までとなりますが、使用環境・日常のメンテナンスの仕方によっては劣化の進行が早くなってしまします。
バッテリーの寿命が短いと感じられるユーザーは、このメンテナンスが的確に行われていないケースが多いのです。
バッテリーの調子が悪いとのことで、確認をしたところ、1個のセルが完全に不良になっており、それが全体に悪影響を与えていました。
一括補水装置を使用されているお客様なのですが、原因を探ったところ、フロート部分が熱により溶けて変形しており、水枯れの状態での充電によって、セル内部が高熱になり損傷を起こしていました。
中でもよくあるのが、水枯れでバッテリーに補水が必要なことを知らなかったお客様もいらっしゃいました。
一括補水はメンテナンスをこまめに行わないと、
【水漏れ】【詰まり】
の可能性が高まり、安心できません。
一括補水装置を過信せずに、最終的に目視で各セルにちゃんと補水がされているかチェックすることが必要です。
事例① | 【バッテリー式フォークリフト】 水枯れの不具合 |
---|---|
不具合内容 | バッテリーが発熱し、煙が発生した。 |
調査結果・ 原因 |
一個のセルが完全に不良となっており、全体に悪影響を与えていました。 一括補水装置を使用していましたが、不良のセルに水が行き届いていませんでした。一括補水装置の汚れによる目詰まりが原因と思われます。 【ポイント】一括補水装置は定期的なメンテナンスが必要になりますので、弊社では使用を推奨しておりません。 |
事例② | 【バッテリー式フォークリフト】 精製水入れすぎによる不具合 |
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不具合内容 | バッテリーの使用可能時間が短くなった。 |
調査結果・ 原因 |
三個のセルで比重が下がっており、全体に悪影響を与えていました。 フロートの故障で水を入れ過ぎていました。そのままの状態で充電したためセルが膨張し、水が溢れていました。結果、バッテリー液が極端に薄まり比重が低下したため、バッテリーの能力も低下したものと思われます。 【ポイント】新品のバッテリーで起きやすい現象です。 |
事例③ | 【バッテリー式フォークリフト】 過充電による不具合 |
---|---|
不具合内容 | バッテリーが発熱した。 |
調査結果・ 原因 |
バッテリー残量を確認せずにこまめな充電を繰り返したため、過充電状態となり発熱したものと思われます。 そのまま充電を続けますと、電槽・ふた・液口栓の変形や変色の恐れもあります。 |
事例④ | 【バッテリー式フォークリフト】 過放電による不具合 |
---|---|
不具合内容 | バッテリーの使用可能時間が短くなった。 |
調査結果・ 原因 |
リフトが動かなくなるまでバッテリーを使用し放電しきったため、極板表面にサルフェーションが生じて起電能力が低下し、容量も低下したものと思われます。 このまま症状が進行すると使用できなくなってしまいます。 【ポイント】充電量の低下に伴って電解液の濃度が低下し、凝固点が上がるため、極寒地では電解液が凍結しやすくなり、凍結時の膨張によりケースが破損する場合もあります。 |
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