今回はフォークリフトのフォークとサヤフォークについてご紹介します。
通常のフォークリフトには、車体前面に荷物を上げ下げするフォークがついております。
正式名称はフォークですが、通称で元フォーク、元ツメなどと呼ばれております。
ここでは元フォークという呼び名で統一させていただきます。
※特殊なアタッチメントが付いているフォークリフトは除外してお話ししますね。
元フォーク
フォークリフトの元フォークは下の画像のものになります。
フォークリフト前面に直についているフォーク(ツメ)です。
荷物を載せたパレットに、この元フォークを差し込み、荷上げ、荷下ろし、運搬などを行います。
【元フォークの強度】
元フォークの強度は、フォークリフト構造規格第8条にて「爪の静的強度の安全係数は、基準荷重中心と
これに対応する最大荷重に対し、使用材料の降伏点において3倍以上でなければならない」
とされています。
つまり、最大荷重1.5tフォークリフトの場合、元フォークはその3倍の4.5t以上の安全性でなけれ
ばいけません。
【元フォークの長さについて】
次に元フォークの長さですが、その前に荷重中心という言葉を少し説明いたします。
フォークに載せた荷物の重心位置と、フォークの垂直前面との距離を荷重中心と言います。
基準となる荷重中心はJIS(日本工業規格)により定められています。
※図はJIS参照。
上記表の通り1t~5t未満は荷重中心点が500mmとなりますので、
持ち上げる荷物の荷重中心をフォーク根本から500mm以内であれば、そのフォークリフトの最大荷重の
荷物を持ち上げる事が可能となります。
しかし、上記右図のように積み荷が大きく(又は長く)重心が荷重中心点を超えてしまう場合、
フォークリフトが前傾する恐れがありますので注意が必要です。
※過去のリフトラボでも荷重中心について説明しておりますのでよろしければご参照ください。
さて、元フォークの長さは、この基準荷重中心の約2倍が必要とされております、
例えば2tのフォークリフトで見てみると基準荷重中心は500mm、ということで
約1000mm(1m)の元フォークの長さが必要となります。
ちなみにトヨタの新車標準仕様では下記の長さになります。
1t標準770mm
1.5t標準920mm
2.5t標準1070mm
※オプションで変更可能
元フォークの長さは、基本的には荷扱いする荷物(パレット)のサイズで決めますが、
短過ぎても長過ぎても不適合ですので注意しましょう。
【元フォークの厚みについて】
フォークリフトの元フォークには摩耗限度があり、その摩耗限度はフォークリフトメーカーごとに
設定されています。
フォークリフトメーカーによって多少異なりますが、例えばトヨタは下記のようになります。
1.5tフォークリフト 標準35mm 摩耗限度30mm
2tフォークリフト 標準38mm 摩耗限度32mm
2.5tフォークリフト 標準42mm 摩耗限度35mm
詳しくは、こちらをご参照ください。
建荷協https://www.sacl.or.jp/technique-info/i01/
摩耗が限度を超えると荷物を支える事ができなくなり、元フォークが折れて大きな事故に
つながる恐れもあります。
摩耗限度を超えると元フォークの交換が必要となりますので、定期的なチェックや特定自主検査の
実施をお勧めします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サヤフォーク
サヤフォークは、刀の鞘の様な筒状のフォークの事を指します。
元フォークの長さが足らない際、サヤフォークに元フォークを差込むことで、簡易的にフォークを
長くすることができます。
【サヤフォークの装着方法】
①サヤフォークを、元フォークに装着できる位置に合わせ地面に置きます。
元フォークの高さ、角度を調整してフォークリフトを前進させて装着します。
②根元までしっかり入ったら、下記画像の赤丸部分にピンを差しこみます。
③差しこみ反対側の抜け止めの金具を固定させ抜けないようにしてください。
このような感じで簡単に装着出来フォークの長さを変えることが出来ます。
【サヤフォークはどのような時に使用する?】
荷役作業時に元フォークの長さが足りない場合、一時的に元フォークの長さを延長したい時
に利用します。
また、元フォークが長い場合、常に場所もとり、荷物に合わせて短くするという事ができない為、
様々な大きさの荷物を扱う場合は、必要最低限の元フォークの長さにして、
サヤフォークを利用される方が多いようです。
【サヤフォークのメリット】
・取り外し可能なので、荷物の大きさに合わせてフォークの長さを変えられる。
・元フォークをサイズ交換する場合と比べ、サヤフォークの方が安価なので、低コストでフォークを長くすることが出来る。
・荷役作業にあわせてサヤフォークを使用する事で作業スピードも上がり効率化出来る。
・荷役作業に合わない短いフォークで荷役作業することによる事故や荷物破損を防ぐ。
などがあげられます。
【サヤフォーク利用時の注意事項】
通常、サヤフォークを装着すると元フォークから長くした分、空洞ができることになります。
元フォークの長さに対して長過ぎるサヤフォークを装着した場合、空洞部分が大きくなり、
強度を保つことが出来ません。
JIS規格に準じて装着可能なサヤフォークの長さは、元フォークの長さによって定められています
ので注意しましょう。
※元フォークの1.67(1.6666)倍の長さが上限とされております。
例えば
元フォークが1,070mmの場合には、約1,786mmまでの長さのサヤフォークが装着可能となります。
また、長さだけではなく、装着するフォークリフトの最大荷重によって、サヤフォークの強度
(鉄板の厚みなど)が変わってきますので注意が必要です。
サヤフォークを購入する際、また使用する際には長さだけでなく、耐荷重 何t用のサヤなのか?
その点も確認してサヤフォークを使用することが大切になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
元フォークが短い場合は、荷役作業に合わせてサヤフォークを上手に利用することで、
作業の効率化と荷物の破損やフォークリフトの転倒などを防ぎ安全に作業を行なうことが
可能になります。
リフトニーズでは、JIS規格準拠の高強度、高品質のサヤフォークを、お客様の現場に合わせ
オーダーメイドでご用意できます。フォークの長さでお困りの際には
是非お気軽にご相談ください。
今回のリフトラボは 中川が担当しました!